被ばく形態と個人線量計の装着部位

[被ばく形態]
 個人線量を正しく算定するためには、使用する個人線量計の種類を適切に選択すると同時に、被ばく形態に応じた装着部位に必要数の個人線量計を装着することがとても重要となります。被ばく形態は、作業内容や作業姿勢及び放射線の分布状況等に応じて、次のように分類されます。

(1)体幹部均等被ばく
 体幹部の各部位(頭部及び頚部、胸部及び上腕部、腹部及び大腿部)の受ける放射線量に、特に差異が無いと認められるような被ばく形態をいいます。

(2)体幹部不均等被ばく
 体幹部の各部位(頭部及び頚部、胸部及び上腕部、腹部及び大腿部)の受ける放射線量に、差異があると認められるような被ばく形態をいいます。

(3)末端部被ばく
 体幹部を除く、手、前腕部及び足とくるぶし等に対する被ばく形態をいいます。

(4)眼の水晶体の被ばく
 眼の水晶体に対する被ばく形態をいいます。

[個人線量計の装着部位]
 個人線量計の装着部位及び装着数の基本は、各被ばく形態に応じて次のようになります。

(1)体幹部均等被ばく
 被ばく形態が「均等被ばく」の場合には、装着する個人線量計は体幹部の基本部位(男性は胸部、女性(妊娠不能と診断されたもの等を除く)は腹部)に1個となり、全ての個人線量当量はこれから得られた測定値に基づき算定します。※1

(2)体幹部不均等被ばく
 被ばく形態が「不均等被ばく」の場合で、体幹部の基本部位よりも多量の放射線を受ける恐れのある場合には、基本部位及び体幹部で最大の放射線量を受ける恐れのある部位に、それぞれ個人線量計を装着する必要があります。従って、実効線量は、各個人線量計から得られた測定値に基づき、不均等被ばく計算によって算定します。 なお、眼の水晶体に係る等価線量は、頭頸部に装着した線量計から得られる測定値に基づき算定し、皮膚の等価線量は、各線量計の測定値の最大値に基づき算定します。※1

3)体幹部均等被ばく+末端部被ばく
 体幹部均等被ばくと末端部被ばくの複合している被ばく形態では、体幹部の基本部位と末端部にそれぞれ個人線量計を装着することが必要となります。この場合、実効線量及び眼の水晶体の等価線量は、体幹部に装着した線量計の測定値から算定し、皮膚の等価線量は各線量計の測定値の最大値に基づき算定します。※1

(4)体幹部不均等被ばく+末端部被ばく
 体幹部不均等被ばくと末端部被ばくの複合している被ばく形態では、体幹部に複数個の個人線量計を装着し、さらに末端部にも個人線量計を装着することが必要となります。この場合、実効線量は前項の不均等被ばく計算に基づき、眼の水晶体に係る等価線量は頭頸部に装着した線量計から得られる測定値に基づき、それぞれ算定します。また、皮膚の等価線量は、各線量計の測定値の最大値に基づき算定します。※1

(5)眼の水晶体高線量被ばく
 (1)~(4)の被ばく形態において、特に眼の水晶体の線量が高く管理基準※2に近づく又は超える恐れがある場合、防護メガネ等で遮蔽をし、防護具内側の眼の近傍に個人線量計を装着します。この場合、眼の水晶体に係る等価線量は、この線量計から得られる測定値に基づき算定します。※1

活動報告→法令対応→法令改正に伴う眼の水晶体のモニタリングについても合わせてご覧ください。

※1各線量計の測定値から実効線量及び等価線量を算定する方法は、個人モニタリングサービス共通技術基準 別表1を参照ください。
※2管理基準線量につきましては、一般社団法人日本保健物理学会「眼の水晶体の線量モニタリングのガイドライン」例題3を参照ください。

2021年03月03日