1.測定対象放射線
共通技術基準に定める測定対象放射線は、X・γ線とする。
なお、中性子及びβ線に係る環境サービスの取り扱いについては、特記事項に基本的対応を記す。
2.報告線量
報告線量下限:0.05mSv(50μSv)以上について報告する。
報告線量単位:0.01mSv(10μSv)ステップ(または有効数字3桁)にて報告する。
3.線量算出基準
X・γ線 :周辺線量当量[H*(10)]として算出する。
校正基準:in air 校正とする。
(なお、専用の線量計取付治具(ケース)等の使用を前提としているものについ ては、その状態を基準として校正する。)
4.自然放射線の補正
コントロール(BG補正用)素子を準備し、測定対象となる人工放射線に係る放射線量だけを算出し、報告する。
5.コントロール素子の保管場所
コントロール素子は、人工放射線の影響を受けず、測定用線量計の設置環境と同様の自然放射線環境の場所にて保管することを基本とする。
但し、実質的な保管場所としては、人工放射線の影響が少ないと考えられる居室等において保管することを可とするが、この場合においても自然放射線環境は測定用線量計の設置環境と同様とする。
6.使用期間
環境モニタリングサービスに使用する線量計の使用期間は、一月間を基本とする。但し、次の各条件を満たす場合は、三月間の使用を例外的に可能とする。
①管理区域境界等における空間線量が一月間毎等の十分短い期間で管理されており、異常が発生していた場合においても事業所境界等の空間線量を法律の定める限度内に収めるための措置が講じられる体制が確立している施設に対するモニタリングサービスを提供する場合。
②使用環境における三月間の退行特性が無視できる、若しくは、十分な精度で補正できる線量計を使用し、前2項の報告線量下限の信頼度が維持できる場合。
7.特記事項
7.1中性子に係る測定サービス
次の理由により中性子に係る空間線量の測定は、共通技術基準には定めないものとする。
①中性子に対し、2項に記述した報告線量下限において、X・γ線と同等の測定精度を担保することは難しい。
②中性子に係る個人線量を測定する場合、個人線量計には、装着者からのアルベド中性子を考慮した線量算出アルゴリズムを使用しているものがある。これらの線量計を環境モニタリング用として使用すると、基本的にアルベド中性子の効果が期待できない。従って、中性子に係る環境モニタリングについては、測定サービス機関との調整を必要とする。 以上の点から、中性子に係る環境測定の依頼に対しては、各施設の中性子場の状況、想定線量レベル等に基づき、環境測定に相応しい精度を維持するための手法を検討する必要がある。従って、中性子に係る環境測定は、共通技術基準の対象とせず、各測定サービス機関と顧客との個別の調整にて解決するものとする。
7.2β線に係る測定サービス
一般的にβ線は透過力が弱く、管理区域境界や事業所境界にける限度値として問題となるのは、遮へい壁等との相互作用にて発生する制動X線である(一部、加速器等による電子線を除く)。また、β線に係る低線量域の測定は、中性子の場合と同様にX・γ線と同様の測定精度を維持することが難しい。
従って、β線に係る環境測定は、中性子と同様に共通基準としては定めず、各測定サービス機関と顧客との個別調整にて解決するものとする。
平成15年1月16日 制定
平成25年7月18日 改定